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生命科学者からみた「サムシング・グレート」の世界 村上和雄 連載 ⑬

  • 執筆者の写真: 心と遺伝子アカデミー
    心と遺伝子アカデミー
  • 8月3日
  • 読了時間: 3分

4章 祈りと魂


2.     人類の危機はサムシング・グレートからのメッセージ ①


 2011年3月11日、未曾有の大地震、大津波、そして原発事故の三つの大惨事がほぼ同時に発生した。世界の歴史上、まれに見る大震災だ。この東日本大震災には、大自然の重大なメッセージが含まれていると直感した。


 21世紀の最重要課題は、環境問題の解決だ。環境学者である山本良一氏(2007)は「あと数十年で地球は温暖化地獄へ突入する」と語り、この地震、津波の惨事を予言しておられた。


 いま環境や地球にやさしい技術やサステナブルな社会を作ろうとしているが、それはむしろ逆で、地球生命体がやさしいから人間の我が儘をこれまで許してきたが、その我慢も限界に来ていることをこの大震災は示したのだ。


 2020年、年明けとともにCOVID-19のパンデミックが起こった。

ウイルスというと、インフルエンザウイルスやエボラウイルス等、病原体のイメージが強いのだが、ウイルスの中には宿主に寄生したり共生したりしているものも存在する。その宿主を死亡させてしまうと、自らも死滅してしまう。したがって、宿主となるべく平和共存することがウイルスの存続に必要だ。


 たとえば、ヒトの口唇ヘルペスウイルスは母胎や家族との接触で感染し、宿主の体調が悪くなると発症するが、健康だと発症せず共存する。1993年に提唱されたエマージングウイルス(新たに出現して社会的に大きな影響を与える感染症を引き起こすウイルス)の多くは、この種のものだ。それがたまたま、動物からヒトに感染してキラーウイルスに変身するのだ。このようにウイルスが本来の宿主から別の動物に感染すると、致死的感染を起こすことは珍しくない。


 COVID-19は同じコロナウイルスのSARSやMARSと違い、感染したヒト全員が発症するのではなく、感染しているけど発症しないヒトが存在するため、より多くに感染を広げる戦略をとっている賢く厄介なウイルスだ。


 厄介なのはそれだけではない。COVID-19はRNAウイルスだ。自らの遺伝情報をDNAではなくRNAとして書き込んでいる。DNAウイルスよりはるかに分裂が速いうえ、安定性が弱く変異も起こし易いのだ。


 一方、このウイルスは肺の肺胞細胞に感染する。肺は呼吸という生命活動には欠かせない臓器だ。肺胞細胞はタバコや環境汚染物質によってもじわじわと壊されてしまう。死んだ肺胞は復活しない。私たちは自らこの肺に負担をかけるべく地球や身体を汚してきてはいないだろうか。


 感染症対策として、私たち人類は盾(ワクチン)と矛(抗生剤・抗ウイルス剤)で戦ってきた。もちろん重症化しやすい高齢者や基礎疾患がある方にはワクチンが必要だし、重症化した患者には抗ウイルス剤が必要だ。


 しかし、考えてみよう。私たち人間がこの地球で存続するために、地球環境を綺麗にすることで肺を守ること(肺胞細胞が生きやすくなること)、免疫力を強化し、自ら治癒できる可能性を広げることを。もしかしたら、生物学的にもこのウイルスと人類は新たな進化のステージを迎えているのかもしれない。


 こうした世界的危機に、いったいどのようなサムシング・グレートの思し召しがあるのか私にはわからない。ただ、私なりに思うことはある。それは未知の感染症の伝播という万が一の事態は、人類全体の「大節」であり、地球規模の協力体制が整わなければ対応できないということだ。


出典: Spirituality as a Way: The Wisdom of Japan 2021



 
 
 

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