top of page
検索

生命科学者からみた「サムシング・グレート」の世界 村上和雄 連載 ⑥

  • 執筆者の写真: 心と遺伝子アカデミー
    心と遺伝子アカデミー
  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

2章 魂とスピリチュアル


2.     身体は「サムシング・グレートのからだ」のレンタル


 一般に、人間の魂というものは時間や空間を超えて連続し、死んで肉体が滅びても、魂はなくならないとされる。そして、死体から離れた魂は、いつしか新たな肉体をもって再生するという思想も、東洋を中心に広く受け入れられている。

もとより、私の専門である遺伝子レベルでも、魂について説明する言葉は、今のところ持ち合せがない。というのも、遺伝子は物質だからだ。

とはいえ、説明できないことが「無い」ことにはならない。たとえば、心は目には見えないが、その働きは、心理学が成立するように、だれもが認めるところだ。魂の問題も同様だ。心と遺伝子の関係を探る私の研究も、将来的には魂の働きまで視野に入れることができればと願っている。

では、「魂」の働きとはなんだろうか。

 

 ワトソンやウィルキンスと共同で DNAの二重螺旋構造を発見し、ノーベル生理学・医学賞を受賞したクリックは『DNAには魂があるか』(Crick 1994)という本を発表している。この本は「意識の科学的理解」を目指したもので、タイトルに掲げられた刺激的なテーマの結論は、当たり前だが、「遺伝子に魂はない」というものだった。遺伝子は物質としての人間の連続性を伝えていくが、魂は別次元であり、命の連続性を伝えていくものとして考えなければならない、と結論づけている。

魂への科学的アプローチということに関連して、死と生まれ変わりについても、別の観点から述べてみよう。

 

 一般に、人は自分の身体を自分のものだと思う。しかし、物質レベルで見たとき、果たしてそうなのだろうか。

私たちの身体は、酸素、炭素、水素などの元素からなりたっている。これらの元素は、すべて地球上の元素からきている。つまり、地球上の元素を無機物の形で植物が摂取し、それを蓄えた植物を草食動物が食べる。そして、私たち人間は、その動物や植物を食べて生命を維持しているのだ。したがって、私たちの身体を構成する元素は、すべて地球に由来するというわけだ。


 そうすると、私たち人間の身体は、地球から「借りている」といえなくもないだろう。借りものである証拠に、私たちの身体は、一定期間は地球上で使うことができるが、やがて消滅して物質となり、地球に還元せざるをえない。今風に言えば、地球から一時「レンタル」した身体を、死という期限が来たら返却するのだ。

こう考えると、物質レベルでは、私たちの身体の貸し主は、地球ということになる。物質レベルを超えた世界から見れば、地球は「サムシング・グレートのからだ」の一部とみなすこともできるので、私たち


人間は、サムシング・グレートのからだの一部(地球)の、さらにその一部(身体)を借りて、一定期間使わせていただいているということになるのではないだろうか。死によって地球の一部(身体)を貸し主である地球へ返し、新たに生まれ変わるとき、地球の一部(身体)を再び借りるのだ。


出典: Spirituality as a Way: The Wisdom of Japan 2021




 
 
 

コメント


bottom of page