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「楽しい経験」は、ストレスを乗り越える力になる?            ― 論文アクセプトのお知らせ ―

執筆者の写真: 心と遺伝子アカデミー
心と遺伝子アカデミー
9月4日
読了時間: 3分

― 子ども時代の遊びと心のレジリエンスに関する研究成果が論文として掲載されました ―


私たちの研究グループの論文が、2026年9月3日、国際学術誌 Frontiers in Behavioral Neuroscience に掲載されました。


私たちはこれまで、子ども時代の環境や経験が、その後の心の健康やストレスへの向き合い方にどのような影響を与えるのかについて、神経科学の視点から研究を続けてきました。


子ども時代に受ける強いストレスや社会的な孤立は、その後の心や脳の発達に長期的な影響を及ぼす可能性があります。


そこで今回の研究では、子ども時代にストレスを経験し、社会的に孤立した環境で育った動物に、「遊び」を通した楽しい経験を繰り返し与え、それが大人になってからの感情やストレスに関連する行動にどのような影響をもたらすのかを調べました。


動物にも仲間同士で活発に遊ぶ時期があり、こうした遊びは、その後の社会性や感情、認知機能の発達に重要であると考えられています。


  • 子ども時代の「楽しい遊び」が、その後の行動に


研究の結果、子ども時代に楽しい遊びを経験した動物では、ストレスや社会的孤立に伴う行動への悪影響が少なく、特に抑うつ様行動や恐怖に関連する反応が軽減されることがわかりました。


また、過去に経験した恐怖に関連する反応についても、楽しい遊びを経験した動物では恐怖が薄れていました。

これらの結果から、子ども時代のポジティブな経験が、ストレスを経験した後の長期的な感情や行動に良い影響を与える可能性がわかりました。


  • 「つらい経験」だけでなく、「その後の良い経験」に目を向ける


この研究で私たちが大切にしているのは、子ども時代に受けたストレスの影響だけではなく、その後にどのようなポジティブな経験を重ねるかという視点です。


もちろん、今回の研究は動物を用いた基礎研究であり、この結果をそのまま人に当てはめることはできません。

しかし、子ども時代の「楽しい」「安心できる」「人と触れ合う」といった経験が、困難な経験による影響を和らげ、将来のストレスを乗り越えていく力=レジリエンスにつながる可能性を科学的に考えていくための、一つの基礎的知見になると考えています。


今後さらにその脳内メカニズムを明らかにすることで、子育てや教育、子どもたちの心の健康、そして困難を経験した子どもたちのレジリエンスを支える取り組みへとつながる研究に発展させていきたいと考えています。


日頃より、心と遺伝子アカデミーの活動、そして私たちの研究を応援してくださっている皆さまに、心より感謝申し上げます。


皆さまからいただく温かいご支援は、研究を続け、新しい知見を社会へ還元していくための大きな力となっています。

これからも、「人がより幸せに、より健やかに生きるために科学ができること」を探究し、その成果を社会へ届けていきたいと思います。



論文情報Toyoshima M, Tachihara R, Xiong T, Igarashi K, Ichitani Y, Yamada K, Hori M. (2026) Adolescent tickling incorporating handling is associated with reduced stress- and fear-related behaviors in socially isolated male rats.

Frontiers in Behavioral Neuroscience, 20:1869518.Published: September 3, 2026. DOI: 10.3389/fnbeh.2026.1869518




 
 
 

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