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生命科学者からみた「サムシング・グレート」の世界 村上和雄 連載 ⑭

執筆者の写真: 心と遺伝子アカデミー
心と遺伝子アカデミー
9月3日
読了時間: 3分

4章 祈りと魂


2.    人類の危機はサムシング・グレートからのメッセージ②


 こうした世界的危機に、いったいどのようなサムシング・グレートの思し召しがあるのか私にはわからない。ただ、私なりに思うことはある。それは未知の感染症の伝播という万が一の事態は、人類全体の「大節」であり、地球規模の協力体制が整わなければ対応できないということだ。


 国家やイデオロギーを超えてすべての国が協力しあうことができれば、必ずこの危機を乗り越えられるのは間違いないのだ。そして私は、人類は必ず互いに助け合う道を選ぶと信じている。地球規模で互いに助け合うことこそ、サムシング・グレートが人類に促していることかもしれない。


 二十世紀最大の知識人といわれる、仏経済学者のジャック・アタリ氏は今回の危機を受け、改めて利他主義への転換を広く呼び掛けている。


 彼は2020年4月11日のNHKのコロナウイルスパンデミックについての番組で、次のように述べた。「深刻な危機に直面したいまこそ『他者のために生きる』という人間の本質に立ち返らねばならない。協力は競争よりも価値があり、人類は一つであることを理解すべきだ。利他主義という理想への転換こそが人類サバイバルのカギである」。そして、この危機は新しい世界がつくられていく変革のチャンスであるというのだ。まことに私もそのように感じている。


 「ピンチはチャンスだ」と何十年も言い続けてきたが、人類が進化するためにこのピンチは最大のチャンスであると思う。それは何よりも一人ひとりの意識を変え、魂レベルでひとつに繋がることで可能になると強く信じている。


 かつてアタリ氏(2008)は、混乱した世の中に「トランスヒューマン」というべき人類全体のことを考えられる超エリートが出てくることを期待していた。しかし、いま私は一人のスーパーマンが出てきて世界を救ってくれることに期待していない。そうではなくて、一人ひとりの意識が変わり、それが大きなうねりのようになった時に、世界が変わるのではないかと思うのだ。


 アタリ氏は利他主義とは最も合理的で自己中心的な行動であるというのだ。かつてダライ・ラマ法王(2011)も、「他の人を思いやるということが自分の幸せをももたらすと理解して自分のことをケアしていくというのが、賢い者の利己主義」だと言った。情けは人のためならず、という言葉がある。人を助けて我が身助かる、という意味だ。この世の生きとし生けるものは、命の連鎖という守護のもとに生かされている。そのひと繋がりの輪の中に人間もいるのだ。いま人類はかつてない変革の時にあるといえる。この時代に命を得て生かされている私たちは幸いであることを忘れないようにしたいと思うのだ。


出典: Spirituality as a Way: The Wisdom of Japan 2021



 
 
 

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